原町の地蔵様のはなし
更新日:2019年12月17日
博多の津の大火の時、家が焼け、家族も焼け死んで一人になったおじいさんが、東の方を目指して逃げ延びてきました。
どこかの家に泊めてもらいたいと次々に頼みましたが、何しろひどい姿なので、どこの家でも断られました。
仕方なく、今夜は野宿でもしようかと、一軒のあばら家の軒下にしゃがんでいました。
すると、その家の若夫婦が気づいて、「どうしましたか」とたずねました。
おじいさんは、「朝から何も食べず、おなかがぺこぺこで歩くこともできないので、ここにお邪魔しています。どうか一晩置いてください。」と頼みました。
若い夫婦は、「むさ苦しい家でよかったら泊まってください。」と言いました。
おじいさんは大喜びで泊めてもらうことになりました。
その晩、若い主人は、「自分は三つの時に両親と死に別れ、人様の手厚い情けによって育てられました。ずいぶん苦労しましたが、こんなに立派に成人することができました。妻もわたしと同じ境遇の者です。」とおじいさんに話しました。
それから三日目の晩、おじいさんはこの若夫婦に、「わたしをあなた方の家族にしてください。」と手をついて頼みました。
すると若夫婦は、「自分たち夫婦は人様から育てていただいたのですから、ご恩返しのためにおあずかりしましょう。」と、おじいさんを居候させてくれることになりました。
数日たったある晩のこと、おじいさんは「自分は博多の津で大きな呉服屋をしていましたが、真夜中に突然火事がおこり、命からがら日ごろから貯めていた金だけを持って一生懸命逃げてきました。どこかで後継ぎを探そうと思っていたのですが、あなた方のような親切でやさしい方にめぐりあえてこんな嬉しいことはありません。」ときたない袋の中から大金を取り出して、「どうかおさめてください。」と、若夫婦に渡しました。
若夫婦はたちまち大金持ちになりました。
おじいさんは、親切な若夫婦に可愛がられ安心したのか、気の緩みで、病床につき、まもなく黄泉の旅に発ちました。
若夫婦は、大金持ちとなったのは、おじいさんのおかげであると、その霊をなぐさめるために地蔵尊を建立しました。
これが原町区の地蔵様と呼ばれています。
- 【近隣の史跡】鶴見塚古墳、坂の下地蔵尊 等
- 【最寄駅】JR原町駅より約0.5キロメートル[徒歩約10分弱]
- 【バス停】西鉄原町西バス停より約0.3キロメートル[徒歩約5分]
PDFファイルをご覧いただくには、Adobe Readerが必要です。Adobe Readerをお持ちでない方は、左記の「Adobe Acrobat Reader」バナーをクリックして、ソフトウェアをダウンロードし、インストールしてください。
このページに関する問い合わせ先
粕屋町立歴史資料館(粕屋フォーラム2階)
郵便番号:811-2314 福岡県糟屋郡粕屋町若宮1丁目1-1
電話番号:092-939-2984
ファクス番号:092-938-0733
開館時間:火曜日から日曜日の午前10時から午後5時まで(ただし、祝日、休日の翌日、毎月最終木曜日、特別整理期間を除く)